絵本でSF――『一日だけうさぎ』
わたしが すんでいる 町は、とうきょうの となりに あるのに、
森が おおくて しぜんが ゆたかだ。
そして むかしから、この町に すんでいる 人は なぜか
大人も 子どもも みんな 一年に いちど 一日だけ うさぎに なってしまう。
「うさぎの日」がいつ来るのかは町の人にもわからないので、各家庭では非常用ラビットフードや、うさぎになったときに着る服を常に用意して備えています。小学生の「わたし」はうさぎになるのが楽しいけれど、お母さんやお父さんはそうでもないみたい。
「今年は真夏じゃなくてよかったわね」と、そんなかんじ。
SFと空想物語とのちがいは、思考実験の側面があるかどうか、だと思います。
このおはなしはSFと言えましょう。
奥付によると、2015年度おはなしエンジェル子ども創作コンクールの最優秀作品を絵本化したのが本書で、作者の原知子さんはなんと当時9歳。
『一日だけうさぎ』
原知子/文 こばようこ/絵 くもん出版 2016年